空間精度って何?
工具先端点の3次元精度を直接評価する新しい手法
従来、工作機械の精度評価には、直線位置決め精度・真直度精度といった、いわゆる運動精度が用いられてきました。 運動精度測定はISO230-1やJIS B 6190-1に規定があり、多くの工作機械メーカーが出荷前の精度検査に利用しています。 しかし、運動誤差は相互に作用しあうため、運動精度から実際の工具先端点の位置偏差をイメージすることは容易ではありません。
そこで、工具先端点の位置ごとの3次元的な位置偏差を直接評価する、空間精度という考え方が登場しました。 当社は測定と数学モデルによって空間精度を製造現場に実装することで、製造現場の加工精度と生産性の向上を図り、 工作機械を使用する幅広いユーザーの競争力を高めます。
なぜ空間精度なのか?
工作機械には母性原理という特性があります。「工作機械による加工物の精度は、その工作機械の精度を超えることはできない」というものです。多品種少量生産の比重がますます大きくなり、時代とともに高精度加工に対する市場の要求は高まっています。空間精度を把握しないままで、胸を張って今の加工を続けられますか?
設備保全の観点からも空間精度という考え方は重要になります。人間の身体は日々の体温測定から始まり、健康診断や人間ドックなど様々な方法で健康状態をチェックしています。製造現場においては、工作機械も人間と同じ労働力です。むしろ人間よりも長時間働いていることも多いのではないでしょうか。空間精度測定は、工作機械の精度を加工領域全体にわたってつぶさに把握する、言わば工作機械の人間ドックです。工作機械の健康状態(精度)を把握することは、大切な設備をより良い状態で長く使い続けることにもつながります。
空間精度で何ができる?
精度不良が発生した際、工作機械メーカーに精度点検を依頼したにもかかわらず、問題箇所が特に見つからず結局精度不良の原因がわからなかった...このような経験はございませんか?空間精度測定では、従来の精度測定ではわからない、加工空間全体の3次元的な位置偏差を把握できます。特に大型機や4/5軸機の精度不良でお困りの方に効果的です。
生産性向上を期待してCAMソフトウェアや機上計測を導入している方にも、空間精度の考え方は重要です。これらのシステムは、工作機械が正確に動く前提で使用されています。ところが、工作機械は必ずしも完全にNCの指令通りに軸移動するわけではありません。
CAMソフトウェアで加工プログラムを生成しているのに、何度もプログラム修正をしていませんか?機上計測をしているのに、検査工程でNGとなって再加工していませんか?このような状況では、最新の設備やシステムを導入したにもかかわらず、その効果を十分に発揮できているとはいえません。空間精度測定・補正サービスは、加工現場の不要な手戻りを無くし、真の生産性向上をサポートします。