幾何誤差の成分表記 その2
基準直線と"直角度誤差"
前回のブログでは幾何誤差のうち、誤差運動(位置決め誤差、真直度誤差、姿勢誤差)について概説しました。今回は「軸平均線の幾何誤差」である"直角度誤差"について、詳しく説明したいと思います。
基準直線とはISO 230-1(JIS B 6190-1)で定義された用語で、直進軸の運動軌跡の平均の向き・位置を表す仮想的な直線です。
言うまでもなく、基準直線は機械の中に引かれた物理的な線ではありません。レーザー測定器などの超高精度な測定装置を使って軸の動きを測定し、そのデータから統計的に算出される「見えない理想の線」です。この基準線が正確であるほど、機械はより精密な加工が可能になると言えます。

誤差の要素と表記
直角度誤差は、直進2軸の運動軌跡の基準直線のなす角度の誤差と定義されています。
マシニングセンタは通常、X軸、Y軸、Z軸という複数の軸に沿って動作します。これらの軸が完全に直角に交わっていることで、加工物に対して正確な位置決めが可能になります。


直角度誤差の影響と測定方法
直角度がずれていると、加工精度に影響を及ぼし、製品の寸法や形状に誤差が生じる可能性があります。 したがって、機械の精度を保証するためには、直線軸の直角度を定期的に確認し、必要に応じて調整しなければなりません。

空間精度研究所では、4直角マスタとピックテストを用いた測定と、レーザー測定器による空間の対角線長さから算出する方法によって、直角度を測定・補正しております。
